非常用発電機が定格出力の30%以上の負荷率で一定時間の連続運転をする性能があるか?を点検する試験のことです。
同時に、非常用発電機のディーゼルエンジンやマフラーの内部にたまった未燃焼物やカーボンを排出させるためにも、おこなわれます。
負荷試験は、消防法における運転性能に係わる点検方法の一つとして、消防予第373号で点検要領が定められており、年一回の実施が義務づけられています。
一般的には負荷試験という名称で呼ばれていますが、消防法においては負荷運転が正式な点検名称です。
消防予第373号の第24非常電源(自家発電設備)_3総合点検 (15/48ページ)より引用
年に数回、電気保安点検や消防点検を業務とする方々が、無負荷運転といわれる方法で非常用発電機の点検をしています。
しかし、残念ながら無負荷運転では、運転性能の確認はできません。
無負荷運転を車に例えると、車を停車させてエンジンを空ぶかししている状態です。
空ぶかしだと、車を走らせていないので、「エンジンが動く」ことくらいの情報しか得られません。
いっぽう負荷運転は、車を走らせている状態です。
実際に車を走行させると色々なことがわかります。
法定速度が出せるエンジンの馬力があるか?エンジンの冷却はできているか?エンジンから変な音はしないか?など、たくさんの情報が得られます。
つまり車の運転性能がわかるわけです。
非常用発電機も同じです。
非常用発電機の負荷運転は、停電した時に負荷となる機器へ電気を供給している状態を再現する運転です。
ですので、負荷試験をすると非常用発電機のほんとうの運転性能がわかります。
実際に負荷試験をしてみると、電圧が下がったりオーバーヒートしたり、オイルが漏れたりと、運転性能がない発電機が1割ほど発生しています。
ちなみに、これらの発電機は無負荷運転で正常と判断されていた発電機です。
これらのことから負荷をかけた運転、つまり負荷試験は「停電時に非常用発電機が役立つことを確認」するために欠かせない点検です。
ディーゼルエンジンはエンジンの特性上、無負荷運転の場合はエンジン温度が上がらず、混合気が不完全燃焼を起こしやすくなります。
そうすると未燃焼物やカーボンがエンジンの燃焼室やマフラー内部に蓄積され、吸入・爆発・排気がスムーズにできなくなりエンジンの調子が悪くなるのです。
それだけではなく、たまったカーボンの影響でマフラーから白煙がたくさん出て、近隣への迷惑になったりします。
ひどい場合はマフラーから火を噴くこともあり、とても危険です。
このような状態だと、いざという時に非常用発電機がきちんと動きません。
こうならないためには、定期的に非常用発電機の負荷試験をして、未燃焼物やカーボンを除去してあげることが大切です。
負荷をかけた運転をすると、非常用発電機のエンジンや排気温度が上がり、未燃焼物やカーボンが燃焼されマフラーから排出されます。
そうするとエンジンやマフラー内部がクリーンになるので、マフラーからの排気ガスも透明になり、火を噴くこともありません。
このように負荷試験をすることで、エンジンやマフラー内部にたまった未燃焼物やカーボンが排出でき、エンジンの調子がよくなります。
つまり停電時にきちんと動く非常用発電機とすることが出来るのです。
このように負荷試験は、無負荷運転ではわからない運転性能が確認できる点検です。
と同時に内部にたまったカーボンを排出し、エンジンの調子をよくすることも出来ます。
消防法で定められている点検のひとつであり、ディーゼルエンジンの非常用発電機にとっては欠かすことの出来ない大切な点検です。
一年に一度の実施をお勧め致します。